楡陵祭

楡陵祭。


おやじの背脂誕生のきっかけとなったイベントであり、数多くの想い出が残る場所。
毎年この時期になると当時のことを思い出す。


その楡陵祭が今年、ターニングポイントを迎える。



今年度より、楡陵祭において



すべてのアルコール類の販売および飲酒が禁止される。



この事実を知った時は愕然とした。
Yahooトピックスにも掲載されたほどだ。社会的にも少なからず衝撃だったのだろう。
というのも、旧帝大のうち、今まで大学祭でアルコールを認めていたのは北大と九大だけだった。ところが、北と南の“最後の砦”が陥落したとなると、「やはり大学祭に酒は不要」という風潮がより強まることになる。


飲酒禁止の話を聞いた当初、俺はまず楡陵祭実行委員会に怒りを覚えた。
そんなに問題起こるのが嫌なら初めから祭りなんてやるなと。
祭りなんだから騒いで当たり前。泥酔者が出たってそれはそいつらの責任。
大学法人化で規制が厳しくなったのか?何でそんなに保守的なんだ。
そう思った。



しかし・・・
俺はとんでもない思い違いをしていた。



実はこの風潮は今に始まった話ではない。
大学側は以前から、「毎年多くの泥酔者や急性アルコール中毒者が出る。それでも大学祭で酒を売る必要があるのか」と言い続けていた。
楡陵祭事務局や実行委員会はその都度解決案を提示し、何とかアルコール類の取り扱いを継続するよう大学当局と闘っていたのだ。


しかし一向に減らない飲酒事故に業を煮やした大学当局は、とうとう最後の手段に出た。
簡単に言えば
「これ以上飲酒を続けるようであれば、以後大学側は一切協力しない」
というような内容の文書を楡陵祭事務局に突きつけた。
具体的には、教室や機材の使用禁止、病人や怪我人の世話、楡陵祭期間中の特別休講の廃止、その他一切の援助をしないという事だ。
すなわち、事実上の楡陵祭廃止通告である。


こうなっては条件を受け入れるしかなかった。
楡陵祭が廃止されては元も子もないのだから。



これが今回、飲酒禁止に至った経緯である。





変な例えだが・・・
アルティメットやバーリトゥードは基本的にノールール、何でもありの格闘技だ。
しかしそれでも金的と目潰しは禁止されている。
この場合の“何でもあり”には「但し、格闘技の枠内で」という条件が暗に付加されている。金的や目潰しは格闘技ではなく殺人技だから禁止は当然だ。
しかし、もし「金的・目潰し禁止」というルールがなかったらどうだろう。
本気で金的や目潰しを狙う奴がいるだろうか?


俺はいないと思う。
それを実行した時点でそいつは「格闘家」じゃなくなるから。



祭りにも祭りの枠、モラルがある。
急性アル中、泥酔による暴力は祭りの枠を超えている。
そんな事実があったことを知りながら本気で改善しようとしない参加者達にはモラルがない。
今回の飲酒禁止令は、モラルを守らなかった参加者の自業自得だと思う。
過去の俺達も含めて。



まぁ、本質的に祭りは楽しいもんだ。酒など無くても。
しかしそれでも、酒が飲めない楡陵祭というのはやはり寂しい。



参考:2005楡陵祭公式サイト
北大祭における酒類の取り扱いについて
http://circle.cc.hokudai.ac.jp/huf/nire_hp2005/info/kenkai.pdf