そうだ横浜へ行こう −中華街編(後編)−

前回の続き。

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メニューを見て絶句したヒヨッコ3人。



高けぇ・・・



点心以外の料理は軒並み2,000円超。
ここが恐れていた“選んだら一撃でゲームオーバー”な店なのでは?


いや、それより確かエビチリ1,000円じゃなかったか?
何で普通に2,200円なんだ。倍じゃん。
もしかして・・・隣の店のメニュー見てたんじゃないか?
うむ、これはピンチだ。


しかしだ、堂々とここまで来ておきながら「やっぱりやめます」なんて格好悪い事言える訳がない。敵前逃亡に等しい。
エビチリを食おうと決めてこの店に入ったんだ。こうなったら頼もうじゃないかエビチリを。


そんな悲壮な決意を固めているとは露知らず、のこのこと店員がメニューを聞きに来た。
言ってやる、ビシッと言ってやるぞ。



店員「ご注文はお決まりでしょうか」
俺「小籠包1つと」
店員「はい」
俺「エビチリ1つと」
店員「はい」
俺「以上で」
店員「・ ・ ・ ・ ・ ・ あっ、以上でよろしいですか?」



何だその「えっそれだけしか頼まないの?」みたいなリアクションは。
以上だって言ってんだろうが。わかったらさっさとエビチリ持って来い。


などとほんの少しだけ思ったが、こんな高級店に来ておきながら3人で小籠包とエビチリ1つずつ。そりゃ店員だって聞き返すわ。ちくしょう、いつの日かこの店に再来してVIPルームで「高い順から料理持って来い」とか言ってやりたい。


間もなくエビチリと小籠包が登場。
うむ、さすがに味は良い。まぁエビチリに関しては正直「俺だってこのくらい作った事あるぞ」という感想。でも恐らく相当いいエビ使ってるんだろう、美味かった。
続いて小籠包、こちらは下に白菜が敷いてある。
そう、これが正しい小籠包だ。白菜とかキャベツ敷けばくっつかないからな。
大学近くの中華料理屋だってこれくらいやるぞ。1軒目の店は味は良かったが、この点ではダメだ。
ここでは無事にスープたっぷりの小籠包を堪能し、至極満足した。


ちなみに、店を出てから確認したところ、エビチリ1,000円は“ハーフサイズ”だった。
今更知っても遅い。




店を出てしばらく歩くと、何やら行列が。
中華まんの店らしい。
1個80円と激安だが、それもそのはず、非常に小さい。頑張れば一口で食えるくらいの大きさだ。
この小ささが逆に気軽なのか、並んでいるのは女の子が多い。
俺らも便乗して購入。デザートの事も考慮して1人1個。
早速食べると、なるほど美味い。行列するだけの事はある。




さらに歩くが、デザートの店がなかなか決まらない。
そうこうしているうちに満腹感が現れ始めた。これは早くしないとまずい。
思い切ってサクッと次の店を決め、入店。やっぱりクーラーMAX。寒い。


時間が時間なので、相変わらず客は少ない。
ホール店員の女の人が3人いるが、1人がメニューを聞いており、他2人はキッチン付近に立っている。まぁヒマなのだろう。
俺らは杏仁豆腐、芝麻球、タピオカココナッツミルクと凍頂烏龍茶を頼むことに決め、ヒマそうな2人を呼んだ。1人のおばちゃん店員が寄って来た。



店員「はい、お呼びでしょうか」
俺「注文お願いします」
店員「はい、今係りの者が参りますので少々お待ち下さい



えっ、アンタが係りの者じゃないのかよ。
そそくさと元いた位置に戻り、またヒマそうに立っているおばちゃん。
しばらくして、他の客の注文を聞いていた姉ちゃんが来た。俺たちの注文を忙しそうに伝票にメモする。
どうやらこの姉ちゃんが“係りの者”らしい。
きっとアレだ、おばちゃんはまだ日本に来て日が浅い中国の人で、メニュー聞いてもわからないんだろう。そう言えば確かに日本語も片言だった気がする。
今まで行った店も店員のほとんどが中国人だったし、何か事情があってこっちに来たんだろう。それじゃ仕方ないな。今のところは料理運んだりする係りなのだろう。
俺たちはそう結論し、おばちゃんが料理を持ってくるのを待った。


間もなく、もう1人のおばちゃんが1品目を持ってきた。
「お待たせしました、凍頂烏龍茶でございます」


赤茶色の急須と湯飲みが来ると思いきや、中ジョッキ大の湯飲みにナミナミと登場。完全に意表を突かれた。
なるほど、1つしか頼まなかったからこれは1人分なのね。普通はそれでも湯飲みくらいは用意してくれると思うのだが。
しかたないのでさっきのおばちゃんに湯飲みを要求。
かしこまりました、とおばちゃん。


間もなく、もう1人のおばちゃんが湯飲みを持ってきた。


おいおい、湯飲みも人任せかよ( ´Д`)つ



必死になって中ジョッキから湯飲みへとお茶を移すヒヨッコ3人。
ただでさえ中ジョッキ、しかもこんなにナミナミ入ってたら移すに移せない。
もうテーブルビチョビチョ。


そしてようやく料理登場。
おぉ!今度は例の中国人おばちゃんが持ってきた。
おばちゃん、これから少しずつ日本語覚えて、注文取れるように頑張れよ。
ところでおばちゃん、何て名前だ?
名札を見ると




「小林」




めちゃめちゃ日本人だーーーー(゜Д゜)!!!




それ以降すっかり小林さんがツボで、もう料理どころじゃなかった。
参ったね小林さん。注文ぐらい取ってくれよ頼むから。


ちなみにこの店、料理は普通だったが、お茶は非常に美味かった。
いい加減腹いっぱいだったからかもしれない。



次回は横浜シリーズラスト、番外編。