そうだ横浜へ行こう −番外編−

今回の話、別に横浜旅行記である必要はないのだが、期間中の出来事なので一応シリーズとして書こうと思う。
という事で番外編。

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みなとみらいのマイカルでチーズコーナーを発見した。
デパ地下並の品揃えに興奮し、さすが関東だ、と変なところで感心した。
俺はチーズも大好物なのだが、いかんせんチーズというのは高い。そう気軽に買える物ではないのだ。
だがしかし!
掘り出し物を発見してしまった。賞味期限を3日後に控えたチーズ2つ。なんと半額だ。
半額とはいえ結構タフな値段。それもそのはず、相手は世界3大ブルーチーズの1つ、ロックフォール。もう1つはガレットという初めて聞くチーズだが、こちらは以前から挑戦したいと思っていたウォッシュタイプ。これを攻略せずにチーズ好きは名乗れない。



簡単に補足しておく。
チーズにはプロセスチーズとナチュラルチーズがある。
前者は複数種のチーズを混ぜ合わせたもの、いわば雑種。ベビーチーズやスライスチーズ、6Pチーズなどは全てプロセスチーズだ。
一方後者は血統書付き、単一種だ。性質によって分類されており、ハードタイプ、フレッシュタイプ、白かびタイプ、青かびタイプ、シェ−ブル、そしてウォッシュタイプがある。以下特徴。

  • ハードタイプ・・・プレス機などで水分を絞りきり、ガチガチに固くしたチーズ。ナイフで削って食べる。粉チーズの代名詞パルメザン、パルミジャーノ・レジャーノなど。
  • フレッシュタイプ・・・熟成せずに、できたてを食べる。熟成しないので臭みも風味もなく、さっぱりと食べやすい。モッツァレラはサラダ、マスカルポーネはケーキなど、料理にもよく使われる。
  • 白かびタイプ・・・カマンベールやブリーなど、表面に白かびを繁殖させて熟成するタイプ。内側がとろとろになる。クセは比較的少ない。
  • 青かびタイプ・・・名前の通り。青かびの効果で蛋白質アミノ酸に分解されるので、熟成が進むほど旨味は増す。一般にしょっぱい。世界3大ブルーチーズの1つ、ゴルゴンゾーラはよくパスタに使われる。
  • シェ−ブル・・・原料が牛乳ではなく、山羊の乳。牛乳にはない独特の風味を持つ。残念ながら俺は未経験。


さて、先に述べたウォッシュタイプ、これはチーズ表面を塩水や地元の酒で洗い、特別な菌を繁殖させて熟成させる。表面はオレンジ色。白かび同様とろとろになるものが多く、旨味や風味は抜群。
しかし最大の特徴は、臭いこと。納豆が腐ったような匂いだという。
そもそも納豆自体腐ってるようなもんなのに、それをさらに腐らせるとは恐れ入る。


確かにウォッシュタイプは未経験だが、今まで他の人が「臭くて食べられない」と言ったチーズを食べられなかった試しはない。そんなもんだ、臭いと言ってもたかが知れてる。
賞味期限ギリギリまで極限に熟成されたチーズ、その味わいを想像するともはや我慢できなかった。即買い。




中華街から帰宅後、腹もそんなに減ってないので、先刻買ったチーズと崎陽軒のシウマイを肴に軽く飲もうという話になった。
チーズのためにわざわざ近所のスーパーでスパークリングワインまで購入し、準備万端。
まずは世界3大ブルーチーズ、ロックフォールから頂く。



うん、しょっぱい!



何はともあれしょっぱい。すごい塩分だ。だがしょっぱいのは仕方のない事。
問題は味だが、ここはさすがに世界3大ブルーチーズ、貫禄の美味さだった。旨味はゴルゴンゾーラを上回る。
ただやはり1にも2にもしょっぱいので、ちびちび食べざるを得ない。


ちなみにこのロックフォール、しょっぱさ故にパンとの相性が抜群で、最終日まで重宝した。



さて、いよいよガレット。初ウォッシュだ。
チーズ経験の浅い2人のため、俺が様子見&毒見をすることに。
早速噂の匂いを嗅いでみる。



(ノ∀`)アチャー



うわーこれはちょっと本気で臭い。
強烈に鼻を突くその匂いは化学で言うところの刺激臭、劇物扱いだ。
腐った納豆、なるほど言い得て妙だ。本当にこれは食えるのか?


しかし、臭いのは初めから分かっていた事。想定の範囲内だ。
怯む事無く口へと運ぶ。


うむ、内側はまろやかでねっとり、そして臭い。


匂いで鼻も舌もバカになったらしく、もう同じ味しかしない。
俺の反応を窺っていた2人にも食べてみろと勧め、一口食べさせた。案の定、二度と手をつけようとしなかった。


仕方ないので俺が1人で処理することに。
半分くらい食べたところで表皮を取り除けば良いという根本的な解決法に至ったが、時すでに遅し、俺の鼻と舌は完全に汚染されていた。


あまりの臭さに胸焼けを起こしながらも、何とか最終日には完食。
リヴェンジを心に刻んだのだった。